印象数学Ⅰ

はじめに

現在の算数教育は計算に偏重しており、数学の本質的なイメージの構築が疎かになっている。

近年、割合の計算ができない小学生が増えていることもその氷山の一角と言える。

教師たちは、無理に現実世界に落とし込んだ例を挙げるが、大抵、これは高度な数学と噛み合わず、そこで生じる混乱がかえって数学離れを引き起こす原因の1つになっている。

そこで、印象数学Ⅰでは算数そのものを0から本質的なイメージで構築し、その後の数学教育にも滑らかに応用できる理論を組み立てることを目指す。

少しアカデミックな書き出しになってしまったが、以下で紹介する内容は小学生向けなので、リラックスして見てもらって大丈夫だ。

数の始まり

数直線

1本の直線を考えましょう。

ここでは、この直線を「数直線」と呼ぶことにします。

数字が乗る直線だから、数直線です。

0

数直線上の一点に「0」という名前をつけます。

数の始まりの点なので、「原点」とも呼びます。

1

数直線上の0ではない一点に「1」という名前をつけます。

矢印

0から1に矢印を伸ばしましょう。

この矢印も「1」と呼ぶことにします。

はっきりするために「1の矢印」とも呼びます。

また、矢印の始まりの点を「始点」、終わりの点を「終点」と呼ぶことにします。

2

矢印は、終点と始点をくっつけて「合体」することができます。

ここで、1の矢印と1の矢印を合体させてみます。

すると、1の矢印よりも長い矢印ができます。

これを、「2」と呼ぶことにします。

自然数

同じように、2の矢印と1の矢印を合体させてみます。

すると、1の矢印や2の矢印よりも長い矢印ができます。

これを、「3」と呼ぶことにします。

さらに、3の矢印と1の矢印を合体させたものを「4」と呼ぶことにします。

同じように、1の矢印の合体を続けて「5」「6」「7」「8」「9」と名前をつけていきます。

これで、0から9を生み出すことができましたね。

このように、0を始めとして1の矢印の合体を続けてできる数を「自然数」と呼びます。

足し算

足し算とは何か

これまで私たちは、「数の合体」を「次の自然数を生み出す方法」として使いました。

具体的には、「1と1を合体させて2」、「2と1を合体させて3」という感じです。

ここで、3の矢印と2の矢印を合体させてみましょう。

これは、5の矢印と同じですね。

0 → 1, 1 → 2 と同じように、3 → 4, 4 → 5 となっているのです。

しかし、今回の「数の合体」は「次の自然数を生み出す方法」ではないようです。

そこでこれからは、「数の合体」を「足し算」と呼ぶことにします。

足し算の表現

足し算を「\(+\)」という記号で表すことにします。

すると、3と2の合体は「\(3+2\)」と表現できます。

また、同じことを「\(=\)」という記号で表すことにします。

すると、「3と2を合体させたものは5と同じ」というのは、「\(3+2=5\)」のように表現できます。

足し算の交換法則

\(3+2\)と\(2+3\)の間には、どんな関係があるでしょうか?

実際に矢印で考えてみると、どちらも5になることがわかります。

実は、足し算には「交換法則」があり、順番を入れ替えることができるのです。

10進法

9より大きい数

ここで、9の次の数を考えてみます。

0から9と同じように、新しい数字を使ってもいいのかもしれません。

しかし、数字の種類が増えすぎると覚えるのが大変です。

そこで、0から9を使って9の次の数を表す方法を考えてみましょう。

数字の種類を増やせないのなら、文字の何を増やせばいいのでしょうか?

数字を使う回数を増やせばいいのです。

「位」というのは、数字の置いてある場所のことです。

自然数の位は右から数えます。

右から1番目は「一の位」。

右から2番目は「十の位」。

右から3番目は「百の位」。

右から4番目は「千の位」。

というような名前がついています。

1729で考えてみると、一の位は9、十の位は2、百の位は7、千の位は1という感じです。

本当はもっとたくさんありますが、ここでは表を載せておくだけにします。

自然数の順番のルール

回数を増やすと言っても、06 → 28 → 496 のような変な順番では困ります。

そこで、下のような自然数の順番のルールを決めましょう。

自然数の順番のルール
  1. 0 → 1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 6 → 8 → 9 の順に次の自然数がならぶ。
  2. ある自然数の一の位に1を足すと、次の自然数になる。
  3. ある自然数の最も大きい位より大きい位はすべて0とみなす。
  4. ある位の9に1を足すとき、9を0にする代わりにひとつ上の位の数を次の数にする。

ルール1とルール2は大丈夫ですね。

ルール3とルール4が難しいと思うので、具体的に「9の次の自然数」を考えることにします。

ルール3から、9よりも大きな位はすべて0とみなすので、\(9=…009\)のように考えます。

このとき、9に1を足してみましょう。

ルール4から、…009のつぎの自然数は…010だとわかります。

9を0にする代わりにひとつ上の位の0に1を足すのです。

つまり、9の次の数は10になります。

10より大きい数

10の次の数は何でしょうか?

ルール2から、一の位に1を足した11です。

同じように、12から19も考えることができます。

19より大きい数

では、19の次の数は何でしょうか?

一の位が9なので、ルール4から9を0にしてひとつ上の位に1を足すと、20になります。

同じように、21から99までを数えることができます。

99より大きい数

では、99の次の数は何でしょうか?

ルールに従って計算してみましょう。

まず、十の位より大きい位をすべて0とみなします。

\[99=…0099\]

一の位に1を足します。

\[…009(9+1)\]

一の位が9なので、一の位を0にする代わりに十の位に1を足します。

\[…00(9+1)0\]

十の位が9なので、十の位を0にする代わりに百の位に1を足します。

\[…0(0+1)00\]

すると、99の次の自然数は100だとわかります。

\[…0100=100\]

以上を組み合わせると、すべての自然数を考えることができます。

このように、0から9の10種類の数字を順序のルールに沿って並べ、あらゆる自然数を表現する方法を「10進法」と言います。

以上が押さえられていれば、自然数はバッチリです!

負の数とは何か

正の数と負の数

これまで私たちは、自然数について考えてきましたが、これらに共通する性質は何でしょうか。

矢印の向きに注目すると、0以外の自然数はすべてこれが同じであるとわかります。

この矢印の向きに「正」という名前を付けてみましょう。

また、この矢印の向きと逆の向きに「負」という名前を付けてみます。

同じように、0にも矢印をあげます。

ただし、長さも向きももっていない矢印です。

すると、数の矢印は「正の矢印」「0の矢印」「負の矢印」の3種類に分けることができます。

これらに、「正の数」「0」「負の数」という名前を付けましょう。

整数

私たちは、「自然数」と「負の数」を考えられるようになりました。

では、この2つを組み合わせたらどうなるのでしょうか?

そこで、1から0に矢印を伸ばし、「-1」という名前をつけてみます。

同じように、0でない自然数nに対し、nから0に伸びる矢印に「-n」と名前をつけてみます。

そして、できたすべての矢印の始点を原点に置いてみましょう。

また、すべての自然数の矢印も始点が原点に来るように置きます。

すると、すべての矢印の終点が、0と対称的に1の間隔で並ぶことがわかります。

これらの矢印をまとめて「整数」と呼びます。

またこのとき、数直線上にある矢印の終点の位置と矢印の名前を対応させておきます。

整数の足し算

足し算とは、「数の合体」でしたね。

ここでは、整数の足し算を早くする方法を考えていきましょう。

※計算方法など

時刻と時間

整数の掛け算

掛け算とは何か

掛け算とは、「基準の拡大縮小」です。

記号は、「×」で表します。

具体的な方法は、以下の通りです。

掛け算 \(a×b\)
  1. 数直線上に始点が原点に来るように1の矢印とaの矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、1の矢印の終点がbに来るように1の矢印とaの矢印を拡大縮小する。
  3. aの矢印だったものの終点の位置を調べる。

まだ何を言っているのかわからないと思うので、まずは以下の4つの例を確認してみましょう。

(正の数)×(正の数)

最初は、正の数と正の数の掛け算をやってみます。

\(2×3\)の計算を見てみましょう。

  1. 数直線上に始点が原点に来るように1の矢印と2の矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、1の矢印の終点が3に来るように1の矢印と2の矢印を拡大縮小する。
  3. 2の矢印だったものの終点の位置を調べる。

すると、この答えは6になることがわかります。

この操作を、数式では\(2×3=6\)と表現することにするのです。

(負の数)×(正の数)

次に、負の数と正の数の掛け算はどうなるでしょうか?

\((-2)×3\)を計算してみます。

  1. 数直線上に始点が原点に来るように1の矢印と-2の矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、1の矢印の終点が3に来るように1の矢印と-2の矢印を拡大縮小する。
  3. -2の矢印だったものの終点の位置を調べる。

すると、答えは-6になることがわかります。

(正の数)×(負の数)

では、正の数と負の数の掛け算はどうなるでしょうか?

\(2×(-3)\)を計算してみます。

  1. 数直線上に始点が原点に来るように1の矢印と2の矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、1の矢印の終点が-3に来るように1の矢印と2の矢印を拡大縮小する。
  3. 2の矢印だったものの終点の位置を調べる。

2が少し難しいかもしれませんが、1の矢印の終点を-3に動かすために矢印を反転させてみましょう。

すると、これも答えが-6になることがわかります。

(負の数)×(負の数)

では、負の数と負の数の掛け算はどうなるでしょうか?

\((-2)×(-3)\)を計算してみます。

  1. 数直線上に始点が原点に来るように1の矢印と-2の矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、1の矢印の終点が-3に来るように1の矢印と-2の矢印を拡大縮小する。
  3. 2の矢印だったものの終点の位置を調べる。

ひとつ前と同じように計算すると、答えは6になることがわかります。

掛け算のまとめ

以上をまとめると、\(a×b\)は次の方法で求めることができます。

掛け算 \(a×b\)
  1. 数直線上に始点が原点に来るように1の矢印とaの矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、1の矢印の終点がbに来るように1の矢印とaの矢印を拡大縮小する。
  3. aの矢印だったものの終点の位置を調べる。

このaやbに色んな数を入れることで、どんな掛け算もできるようになります。

掛け算の交換法則

割り算

割り算とは何か

割り算とは、「ある数を基準すること」です。

記号は、「÷」や「/」で表します。

具体的な方法は、以下の通りです。

割り算 \(a÷b,\,\frac{a}{b}\)
  1. 始点が原点にくるようにaの矢印と0ではないbの矢印を置く。
  2. 始点を原点に置いたまま、bの矢印の終点が1に来るようにbの矢印とaの矢印を拡大縮小する。
  3. aの矢印だったものの終点の位置を調べる。

掛け算とよく似ていますね。

実は、割り算は掛け算の逆なのです。

「bの矢印」と「1の矢印」を逆にして比べてみると、ほとんど同じですね。

ただ、ひとつだけ大きく違う部分があります。

「0ではないbの矢印」という条件がついていますね。

これはなぜかというと、0の矢印は大きさと方向がないので2.ができないからです。

では、割り算を体験してみましょう。

有理数とは何か

有理数とは、整数aを0でない整数bで割った結果です。

ここで、\(a,\,b\)にこれ以上の条件はありません。

何でもいいのです。

これで、数直線上の整数以外の数も扱うことができますね。

小数とは何か

逆数

有理数の掛け算

四則演算

※四則演算

単位と割合

図形

統計

ページ制作者

国民総会の提唱者。
ゴリゴリの理系で、社会科が得意なわけではない。

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